夏と言えば怪談1

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そう聞かれた黙示と雪は顔を見合わせ 「林檎ちゃんよりは、長生きしているからね。 そういう話も何度か聞いたんですよ」 「なるほど!」 林檎は納得した様に頷き、出されたパフェを半分食べ終えていた 「それにしても、口裂け女ですか… この周辺で現れたのは久々ですね。」 「そうなんですか?」 「えぇ…知り合いに口裂け女の方が居ましてね…何といいますか」 何かを思い出しているのか、黙示は苦笑いを見せる そして、雪と目線が合うとスッと顔を逸らし冷や汗が滲み出る 「まぁ、好戦的な口裂け女でなければ平気だとは思いますよ」 苦笑いを見せ、冷や汗を流しながら遠い目をする黙示に、林檎は不思議に思うが その黙示の様子よりも、少し気になる事ができた 「好戦的な口裂け女って、戦うんですか?」 林檎が今回聞いた口裂け女は、追い回すだけで別にそういう話は聞かなかった分 そういう類いも居るのかと興味津々に聞く 「好戦的といいますか…戦闘に長けているのも居るんですよ。 口裂け女に限らず、どの類いの都市伝説やオカルトの類いにも ね、雪さん」 「えぇ、そうですね」 ニコリと笑う雪に対して、黙示は顔も見ずに聞くだけ聞いて自分に淹れたコーヒーを飲み干す 「好戦的だったら危ないですね!」 「そうですね、そうなら危ないでしょうけど… 林檎ちゃん…一つお聞きしますが、その口裂け女は男性しか襲わないのでは?」 遠い目をした黙示は、美味しそうにパフェにラストスパートをかけている林檎に聞いた 「? 男子からしか話は聞かないし、友達も会った事は無いって言ってるから 多分、男子しか遭遇してないとは思いますよ」 「あぁ…やっぱり… 安心してください…おそらく、その口裂け女は好戦的ではないですよ。 でも、もし会った場合は逃げてくださいね」 「あれ?黙示さん、その口裂け女とも知り合いなんですか?」 「えぇ…僕の知り合いであれば、そろそろそんな時期だと思い出しまして」 相手を思い出しているのか、苦笑いが戻ることはなく どこか、疲れた様子の黙示 話を聞いていた雪も、あぁ…と納得した様子 「???」 二人の様子を見て、何がなんだか分からない林檎は食べ終えたパフェに使っていたスプーンを咥え不思議そうに見ている そんな時、本日二度目のドアが開く音が店内に響く
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