第2章~新たな化身の降臨~

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第2章~新たな化身の降臨~

~天神山と大岩山に現れし者たち~ 天正15年(1587)春。 余呉湖周辺に水色桔梗の軍旗を掲げる軍勢が数万布陣していた。 明智光秀率いる3万3000の軍勢である。 光秀は田上山に本陣を据え、尾張衆を含めた1万1000の軍勢で入り、天神山に美濃衆1万、東野に伊勢衆5000、堂木山に薄田兼相3000、大岩山に塙団右衛門3000、岩崎山に伊賀衆1000、それぞれ配置して布陣していた。 この明智軍に対して、三葉葵の紋の軍旗を掲げる軍勢が数万、石川数正率いる徳川軍3万の軍勢である。 数正は、北国街道柳ヶ瀬一帯に布陣、刀根街道を確保する内中尾山に本陣を据え、本多忠勝には敦賀街道を見下ろす行市山に入れ、更にその周囲に大久保忠世、大久保忠佐、井伊直政、大須賀康高らで固めさせた。 「徳川軍が布陣してより既に1ヶ月以上が経過する…。我らの誘いにも乗らずただ睨み合いのまま。無駄に時だけを費やしているのう…」 そう光秀は愚痴を溢す。 「まったくです。この際どうでしょう我らから動いて見ては如何でしょうか。某に先鋒をご命じ下されば敵陣を切り崩してご覧にいれまするが」 そう可児才蔵が言うが、才蔵の具申に対して光秀は、首を横に振り。 「徳川軍が動かぬのは何かを待っているのかもしれぬ。故に周辺に放った物見が戻るまでは動かぬ」 そう光秀が言い、これに対して塙安友が口を開き。 「ですが。このまま時を費やすのも如何かと。才蔵殿の申す様に…」 と、安友が言うと、突然、天神山に一筋の光の様なものが見えたかと思うと、天神山に布陣する明智軍の美濃衆の部隊から、悲鳴が聞こえ、そして再び天神山に先程より大きい光が差し込み、更には大岩山にも天神山に差し込んだ光と同等の光が、差し込んだのである。 「何だッ。光はッ」 と、最初に気付いたのは光秀で、光秀は思わず、床机から立ち上がっていた。 天神山に最初に差し込んだ一筋の光は、麻紀の放った鳳凰神の矢であり、この一撃で天神山に布陣していた明智軍の美濃衆の部隊は、一気に数千の将兵が悲鳴を上げて遺骸にその身を変え、更にその陣に麻紀と真哉が降り立ち、降り立った麻紀と真哉であるが、今度は真哉が鳳凰神の槍を振るい、再び数千の将兵が悲鳴を上げて遺骸となり、地面に転がったのである。
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