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麻紀と別れた後、澄心は剛志が向かい、既に姿の見えなくなった廊下のカナタを、澄心は暫く見詰めた後。
(剛志さんは何か言おうとしていた様な…。何であろうか…?)
そう思いながら、澄心は首を捻り、しかし深く考える事なく、澄心は剛志の側近の者に促され、あてがわれた部屋へと向かった。
夜が明けると、澄心は、まだ陽が昇る少し前、辺りが明るくなり始めた頃、寝床から起き上がり、部屋を出て御殿の中庭の近くまで来ると、中庭の方から激しい息づかいが聞こえた。
気になった澄心は、中庭へと向かうと、中庭で真哉が空手の1人稽古をしていた。
「朝早くから熱心ですね」
と、澄心が真哉に声をかけると、真哉は稽古の手を止め、澄心の方を振り返り。
「ああ。澄心さんか」
そう真哉は言い、これに澄心が。
「昨日。あんな事があったから心配していましたが。その様子だと大丈夫そうですね」
そう言うと、これに真哉は首を横に振り返り。
「いや。まだまだです。こんなんじゃ剛志の様な相手が出て来たら。昨日と同じ事になってしまう。俺に足りないものは剛志の様な気迫を持っていない事。今は無理でも何れは…」
そう真哉は言い、明るくなり始めた空を見上げていた。
そんな真哉に澄心が言う。
「剛志さんの様になるには相当の苦難が待ち受けていますね」
この澄心の言葉に真哉が。
「苦難は覚悟してます。剛志の様にならなければ…」
と、そこまで言うと、御殿の中庭へと繋がる廊下の方から。
「男同士で朝早くから何をコソコソと話をしているの」
という聞き覚えのある声が聞こえ、真哉と澄心は、その声が聞こえた方へと振り返り。
「野村」
「野村さん」
と、真哉と澄心は同時に言った。
そう声の主は麻紀であり、麻紀は中庭へと降りて、真哉の方へと歩みを進め、真哉の顔を覗き込み、暫く真哉の顔を見詰め、これに真哉が。
「なっ何だよ」
と、照れながら言うと、これに麻紀が。
「大丈夫そうだね。昨日の事があったから心配してたけど…」
そう言うと、これに真哉は麻紀と澄心を交互に見て。
「たくッ。何だよ2人とも同じ事を俺に聞いてさッ。クヨクヨしたってあれが今の俺と剛志さんの差なんだからよッ」
そう真哉は言いプイッと、真哉はソッポを向いてしまった。
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