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ソッポを向く真哉に対して、麻紀はクスクスと笑い始め、麻紀につられて真哉が笑い、雰囲気につられる様に澄心も笑い、麻紀と真哉、そして澄心は暫く笑っていた。
「3人共に早いな」
と、聞き覚えのある声に、麻紀と真哉、そして澄心は笑うのを止め、声のした方を振り返る。
すると、そこには剛志が幼い子と、女性を連れて、中庭へと続く廊下に立っていた。
「昼前には大坂城を出立するから朝早いが3人に紹介しておこうと思って連れて来たのだが。3人共揃っていて丁度いい。この子が俺の後継ぎで先君の勝久様の子の又四郎だ。そしてこっちが又四郎の母親の備前の方だ」
そう剛志は、又四郎と備前の方を麻紀たちに紹介し、そして更に。
「備前の方。あの女が野村麻紀。若い男が谷口真哉。坊主の男が本原澄心だ」
そう続け、剛志は備前の方に麻紀たちを紹介、これに備前の方は恭しく廊下に座り手をつき、頭を下げた後。
「備前の方です。麻紀殿に真哉殿。それと澄心殿。御屋形様を始め又四郎や尼子家。それと尼子家中の者たち。皆の事をよろしくお願いいたします」
と、備前の方は挨拶し、これに麻紀と真哉、そして澄心はお辞儀をし、そして麻紀が廊下の方へ歩み寄り、又四郎の側まで来て。
「可愛らしい子。又四郎様。野村麻紀です。よろしくね」
と、ニコリとして又四郎の顔を見ると、又四郎は、恥ずかしいのか備前の方の背中に隠れてしまい、これに麻紀が。
「あれ?どうしたのですか又四郎様?隠れないでよ」
そう言うと、これに真哉が。
「野村の事が恐いんじゃないのか」
と、チャチャを入れると、麻紀は真哉の方を振り返り。
「何か言った谷口ッ!」
と、麻紀が真哉を睨みつけると、真哉は澄心の背中に隠れて、澄心背中から麻紀の方を覗き見て。
「おおコワッ。その顔が恐いんだよッ」
そう更に真哉が言うと、これに麻紀が。
「谷口ッ!」
と、声を荒らげて真哉を追いかけ、追いかけられる真哉は。
「捕まるものかよッ!」
と、中庭を上手く使って麻紀から逃げた。
その様子に剛志が。
「全く麻紀と真哉はまだまだ子供と一緒だな」
そう言うと、備前の方がクスクスと笑い出し、剛志は大笑い、つられて澄心も笑っていた。
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