保健の先生

5/30

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「お?アヤか、どうした? 誰か熱中症にでもなったか?」 保健の先生とアヤちゃんは 体育祭や文化祭の関係でよく 顔合わせしているようで、 アヤちゃんを知っているようだ。 「違います。文化祭の出し物で 演劇をやる事になったのですが、 その稽古中に<タレント>の 使いすぎのようで、クラスの人が 倒れてしまったので、 少し休ませて欲しいんです」 「おー。そうか、そうか」 アヤちゃんの説明は分かりやすい。 「随分その娘は珍妙な 格好をしているなぁ?コスプレか?」 「これは劇で使う衣装ですよ」 と、グゥが普通に言っただけで… 「ヤローには聞いとらん!」 と、凶暴な獣が獲物を襲うように 激しく噛み付いていった。 「で、この娘の格好はなんだ? アヤちゃん」 今度は完全に指名して言ったよ。 しかも、グゥの答えは無視かい! 「…劇で使う衣装です」 アヤちゃんも呆れているようで、 2度言うのかよ!と思ったに違いない。 「んで?その『可愛い』娘の <タレント>はなんだ?」 保健の先生は、黒髪でメガネを かけた割りとインテリくさい男だ。 とても角張った顔をしている。 「『男が女になる力』です」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加