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「お?アヤか、どうした?
誰か熱中症にでもなったか?」
保健の先生とアヤちゃんは
体育祭や文化祭の関係でよく
顔合わせしているようで、
アヤちゃんを知っているようだ。
「違います。文化祭の出し物で
演劇をやる事になったのですが、
その稽古中に<タレント>の
使いすぎのようで、クラスの人が
倒れてしまったので、
少し休ませて欲しいんです」
「おー。そうか、そうか」
アヤちゃんの説明は分かりやすい。
「随分その娘は珍妙な
格好をしているなぁ?コスプレか?」
「これは劇で使う衣装ですよ」
と、グゥが普通に言っただけで…
「ヤローには聞いとらん!」
と、凶暴な獣が獲物を襲うように
激しく噛み付いていった。
「で、この娘の格好はなんだ?
アヤちゃん」
今度は完全に指名して言ったよ。
しかも、グゥの答えは無視かい!
「…劇で使う衣装です」
アヤちゃんも呆れているようで、
2度言うのかよ!と思ったに違いない。
「んで?その『可愛い』娘の
<タレント>はなんだ?」
保健の先生は、黒髪でメガネを
かけた割りとインテリくさい男だ。
とても角張った顔をしている。
「『男が女になる力』です」
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