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「…へ?」
保健の先生の眼鏡が少しズレた気がした。
「だから『男が女になる力』です」
「は…はは、男が、女に、なる…」
あ。あ。何か分かる。
昨日の夜のアヤちゃんではないが、
腸(はらわた)が煮えくり返って
いるのが、分かる。
「待て、貴様ーッ!
女のフリをした男だとー!」
「今は<タレント>発動中なので
女の状態ですが、1年8組のナル君です」
「いいか。よく覚えておけよ。
この理ノ家(りのいえ)がなぁ
嫌いなモノは男だよ。
そして、もっとも嫌いなモノは
女装した軟派な野郎だコノヤロー!!」
「ひっ」
激しく怒りをぶちまける理ノ家先生。
その激しい癇癪(かんしゃく)に
脅えてしまった様子のアヤちゃん。
「例えどんな理由があろうと、
この理ノ家は、野郎の診察を断る!」
「…ぇっ、でも、今日は保健室に
理ノ家先生しか居ないのでは…?」
「勝手に何でもしやがれ!
私にその汚い面を見せるなっ!
と、言うことで用はない。帰れ!」
「…ナル君。どう、我慢出来る?」
「横になれればまだ、なんとか…」
「ぉぃ、アヤちゃん。
ソイツは本当に男か?」
僕の声を聞いて手のひらを返す。
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