保健の先生

6/30

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「…へ?」 保健の先生の眼鏡が少しズレた気がした。 「だから『男が女になる力』です」 「は…はは、男が、女に、なる…」 あ。あ。何か分かる。 昨日の夜のアヤちゃんではないが、 腸(はらわた)が煮えくり返って いるのが、分かる。 「待て、貴様ーッ! 女のフリをした男だとー!」 「今は<タレント>発動中なので 女の状態ですが、1年8組のナル君です」 「いいか。よく覚えておけよ。 この理ノ家(りのいえ)がなぁ 嫌いなモノは男だよ。 そして、もっとも嫌いなモノは 女装した軟派な野郎だコノヤロー!!」 「ひっ」 激しく怒りをぶちまける理ノ家先生。 その激しい癇癪(かんしゃく)に 脅えてしまった様子のアヤちゃん。 「例えどんな理由があろうと、 この理ノ家は、野郎の診察を断る!」 「…ぇっ、でも、今日は保健室に 理ノ家先生しか居ないのでは…?」 「勝手に何でもしやがれ! 私にその汚い面を見せるなっ! と、言うことで用はない。帰れ!」 「…ナル君。どう、我慢出来る?」 「横になれればまだ、なんとか…」 「ぉぃ、アヤちゃん。 ソイツは本当に男か?」 僕の声を聞いて手のひらを返す。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加