4人が本棚に入れています
本棚に追加
22歳。来月で学生という身分が終わる。卒業後は就職。印刷会社に勤務する。
人からはサバサバしていると言われることが多いわたし。メガネだし、もう髪はずっと短いし、おしゃれに興味なし、女子力なしの女だと思われている。
が、実際は違ったり、する。
わたしが学生時代を費やしたこのカフェは、とにかくかわいい。淡いピンクの壁紙、壁にかかった仕掛け時計、瓶に詰まったカラフルなチョコや飴、ショーケースの中のカップケーキ、それを見守る小人や兵隊さんの置物。
わたしとは外見が正反対の、女子力の塊みたいな女が大学にいた。好きとか嫌いとかじゃなく、ただただ住む世界が違う人だなと思っていたけれど、偶然ゼミで一緒のチームになった。ゼミの飲み会帰り、どこかカフェにでも行こうという話になり、その女子力の魔物がオススメのカフェがあるのと言い出した。そして連れてこられたのがココだった。
わたしは自分の「女子力」とやらを封じ込めていたのかもしれない。でもここに足を踏み入れた途端、爆発した。わたしには似合わないとわかっていながらも、ここに身を置きたいと思った。
「大学と家の間に合って便利だから」とかなんとか親や友人に言った。かわいいから、このカフェに居たいから、ここでアルバイトを始めたなんて、キャラ的に言えなかった。それに、自分でも、自分がそんなことを言ってはいけないなと思った。立地条件が決定打だと話すことは、親や友人に対してだけでなく、自分自身への言い訳でもあったのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!