7人が本棚に入れています
本棚に追加
あるとき、僕はお風呂に入っていた。
風呂に入らなければ、体臭がキツくなって、友達が離れていってしまう。
こんな変わり者の僕にも、数は少なくても、友達は居る。
だから、お風呂には入っている。
そろそろ出ようと思ったとき、急に全身がヒリヒリとした。
肌全体が赤くなっていて、痛みはどんどん強くなっていく。
やがて、皮がめくれ始める。
めくれてめくれて、肉が見えた。
めくれるなんて表現は正しくない。
爛れている、皮膚が爛れているのだ。
ケロイド状になった僕の皮膚は、浴槽の中で溶けていく。
猛烈な痛みに悲鳴を上げて、僕はお風呂を飛び出した。
脱衣場の鏡を見て我に返った。
僕の体は普段通りだった。
頭を冷やそうと蛇口をひねり、水を出す。
でも、出てきたのはドロリとした何かだった。
黄緑色のソレは、僕の手を溶かして赤く染まった。
痛い、痛い、痛い、骨が見えてる、赤くなったソレは紛れも無いスライムだ。
僕は絶叫した。
救急車を呼ばなきゃ。
受話器を取って我に返った。
僕の手は、普段通りだった。
最初のコメントを投稿しよう!