妄想スライム

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あるとき、僕はお風呂に入っていた。 風呂に入らなければ、体臭がキツくなって、友達が離れていってしまう。 こんな変わり者の僕にも、数は少なくても、友達は居る。 だから、お風呂には入っている。 そろそろ出ようと思ったとき、急に全身がヒリヒリとした。 肌全体が赤くなっていて、痛みはどんどん強くなっていく。 やがて、皮がめくれ始める。 めくれてめくれて、肉が見えた。 めくれるなんて表現は正しくない。 爛れている、皮膚が爛れているのだ。 ケロイド状になった僕の皮膚は、浴槽の中で溶けていく。 猛烈な痛みに悲鳴を上げて、僕はお風呂を飛び出した。 脱衣場の鏡を見て我に返った。 僕の体は普段通りだった。 頭を冷やそうと蛇口をひねり、水を出す。 でも、出てきたのはドロリとした何かだった。 黄緑色のソレは、僕の手を溶かして赤く染まった。 痛い、痛い、痛い、骨が見えてる、赤くなったソレは紛れも無いスライムだ。 僕は絶叫した。 救急車を呼ばなきゃ。 受話器を取って我に返った。 僕の手は、普段通りだった。
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