妄想スライム

4/6
前へ
/6ページ
次へ
もう、僕には何も分からなくなった。 何が正しいのか、何がおかしいのか。 僕は本当は溶かされて死んでいるのでは? 僕の手は本当は溶かされているのでは? 気が付いたら僕は、アパートの貯水タンクを覗いていた。 僕の周りは、大きなスライムで埋め尽くされている。 でも、貯水槽の中は空っぽだ。 これは現実だ。 いろんな所から発生したスライムが、ここに集まってきたんだ。 あちらこちらへ逃げようとする僕を追って、スライムはここまで来たんだ。 でも、僕には貯水槽の中が安全地帯だと知っている。 だってスライムは、貯水槽には登ってこないじゃないか。 登ればすぐに僕を食べられるのに、そうはしない。 だから僕がこの中に入れば、助けが来るまで我慢するだけだ。 僕は、貯水槽の中に飛び込んだ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加