第1章

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何百年、何千年もむかしに魔族の王、魔王がいました。 魔王は人間達を病気にしたり、国を滅ぼしたりして酷いことばかりしていました。 人間達は困りはてていました。人間の力では魔族には勝てません。 なので、人間達は考えました。 力が欲しい。 そして、魔法や剣術を身につけました。 力は手に入りました。 しかし、魔王に立ち向かう勇気がありませんでした。 そんなとき、光とともに紅い目をした男の子が現れました。 男の子は魔王のことを聞いて立ち上がりました。 男の子は魔王を倒すため旅を始めました。 行く先ではいろんな人達を助けました。 そうしているとどんどん仲間が増えていきました。 男の子は仲間と一緒に魔王を倒しました。 人間達の病気は治り、国は元の活気をとりもどしました。 人間達はとても喜び、毎日のように踊り歌いました。 男の子は世界が平和になったことを確認すると光の粒になって消えてしまいました。 人間達は男の子が消える前に一つ質問をしました。 あなたは何者なのですか。 男の子は最後に人間達にこう言いました。 僕はこことは違う世界から来ました。 名をケイと言います。 人間達はケイのことを敬意をもってよう呼びました。 勇気のある者、勇者と。 「っあぶない」 私は十数メートル飛んでからお尻に衝撃を受けた。 どうやら私は突き飛ばされたらしい。 ドンッ 鈍い音がした。 「………ロ………ク………」 私がいた所には幼馴染みのロクがいた。 ロクはえぐられた地面に横たわっていた。 「ちょっと、男は傷つけるなって言ったじゃない!!」 「わりぃ。まさか飛び込んでくるとは思わなくて」 空中には人間のような見た目をした女と男の魔族が言い合っていた。 二人はロクの所に降りてきた。 男はロクをお姫さま抱っこした。 「やめてっ!!ロクに触らないで!!」 腰が抜けて立てない私を見て女が言った。 「安心して。この子は殺さないから」 微笑みながら穏やかに幼い子供を安心させるように言った。 それから女はロクの頬に軽く唇をあてた。 二人は飛んで行った。 私だけを残して。 ポツポツと降りだした雨は周りの音をかきけすほど強くなっていた。 「――――」
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