episode160 救世主

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今になって思う。 あの子の心を覗くこと。 その行為自体もしかしたら 非常に危険なことなんじゃないのかと――。 「……やめさせた方がいい」 いよいよ身体の自由が奪われてゆく。 己を支えて座っているのがやっとの僕に 「何を今さら?」 甘い吐息が問いかける。 髪を撫で回すシウォンの指に 翻弄されながら 「たしかに。何で今さら……だけど」 僕が洩らすのは自嘲気な苦笑い。 「取り込まれるのは君のお兄さんの方かもしれないぞ?」
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