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「もう遅いです……」
横たえた和樹の耳許に
何事か囁き続けるジュンを横目に。
シウォンは僕を憐れむようにそう言った。
「起きて――起きなさい」
二度三度。
ジュンの白い手が
優しく和樹の髪を梳く。
「ンンッ……」
和樹は苦しげに呻くと
逆らうように首を左右に振ったが。
「起きて。和樹――起きなさい」
もう一度命じられた
次の瞬間――。
部屋を照らす
ランプの炎が大きく揺らぎ
和樹の瞳に光を宿した。
そして――。
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