episode160 救世主

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「もう遅いです……」 横たえた和樹の耳許に 何事か囁き続けるジュンを横目に。 シウォンは僕を憐れむようにそう言った。 「起きて――起きなさい」 二度三度。 ジュンの白い手が 優しく和樹の髪を梳く。 「ンンッ……」 和樹は苦しげに呻くと 逆らうように首を左右に振ったが。 「起きて。和樹――起きなさい」 もう一度命じられた 次の瞬間――。 部屋を照らす ランプの炎が大きく揺らぎ 和樹の瞳に光を宿した。 そして――。
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