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「性格ブス」
友達だった未来ちゃんがそう言った。目には責めるような色。口の端が少しだけ上がっていて、とてもいじわるそうに見える。続けて同じ言葉を口にしたのは幼稚園で一緒だった隆君だった。隠したカスタネットのことをよほど根に持っているのか、ようやく見つけたそれをしきりに幸の目の前で振って音を立てて見せる。彼の細い目に溜まった涙が今にも溢れ出してしまいそうだ。
――泣き虫隆。斉藤幸は彼のことをいつもそう呼んでいた。クズで泣き虫で……ついついいじめたくなってしまう。その感情が”好き”というものだと気づいたのは小学校も高学年に差し掛かった頃だっただろうか。
気づけば小学校のクラスメイトたちや担任までもが幸の前に並んでいた。皆、口々に”性格ブス”という言葉を口にして、ゆっくりと幸との間合いを詰めてくる。
「……来ないでよ」
多勢に無勢。幸は一歩一歩後退する。まるで一対大勢の”はないちもんめ”のように、皆、手に手をとって幅広い塀となって幸に迫ってくる。
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