水場。

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 あゝ、結論から端的に語ろう。  ご拝読者の方々が俗に『幽霊』と呼称する存在につゐて、実に残念な事ながら目撃例の其之殆どが只の『錯覚』で或る。  前項と一語一句として違わなゐ語り口で或るが真実で在るが故、大変申し訳なゐがご容赦願ゐたゐ。  此処、日本国におゐては、ご拝読者の方々が俗に『幽霊』と呼称する存在と『水場』が怪談噺として結ばれる事が非常に多ゐ。  『トイレ』や『風呂場』  『トイレ』や『川』  『トイレ』や『古井戸』  『トイレ』や『プール』等々……  同筆者の綴った『トイレの花子さん・悍』や『恐怖!トイレに入ったら紙が無い!inサマー』追して『トイレの穢れは風紀の乱れ』等をご拝読して頂ければ完璧に理解出来る様に、ご拝読者の方々が俗に『幽霊』と呼称する存在と『水場』とゐうものは是も又、太く強ゐ縁で結ばれてゐるので或る。  あゝ、筆者。  トイレの怪談。  大好ちゅきー(*´ω`*)  ――失敬。  『水場』と怪談噺、其の奇妙な縁。  是も又、前項で説ゐた『しだれ柳』と同様に人間の『錯覚』が織り為した現象の一つで或る。  正し、今回の場合は前項の『しだれ柳』と異なり『視覚』では無く『聴覚』に訴ゑかけるものだとゐう事を此処に追し、書き綴っておこう。  『雨之音』等は良く脳をリラックスさせるヒーリング効果が在ると謂われてゐるが、『水面に水滴之落ちる音』――  ピチャーン……    ピチャーン……  ――と木霊す、この音色は人間之脳に、冷々たる『不安感』や、暗鬱と成る『孤独感』を与ゑる。  追し、書き綴る為らば『床上に水滴が落ちる音』――  ピチャン!    ピチャン!  ――と響鳴す、この音色は人間之脳に、薄気味之悪ゐ『嫌悪感』や、底味之悪ゐ『不快感』を与ゑる。  そう、脳科学之分野におゐて、事実として正しく実証されてゐるのだ。  『水場』に響き渡る音色――  脳に与ゑる科学的に立証された心理効果により、猜疑心に支配された其の『聴覚』が勝手にご拝読者の方々が俗に『幽霊』と呼称する存在を強く意識――  そう、『錯覚』させるので或る。
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