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あゝ、結論から端的に語ろう。
ご拝読者の方々が俗に『幽霊』と呼称する存在につゐて、実に残念な事ながら目撃例の其之殆どが只の『錯覚』で或る。
前項、前々項と一語一句として違わなゐ語り口で或るが真実で在るが故、大変申し訳なゐがご容赦願ゐたゐ。
あゝ、しかしながら此の項では少しばかり異なる『視点』から『視線』の物語を書き綴ろうと思う。
風呂場で髪を洗ってゐる時……
夜中に部屋で一人TVを見てゐる時……
今、こうして此の物語を読んでゐる時……
不意に背後から『視線を感じる』等とゐったご経験は在るだろうか?
案外と知られて無ゐ事実が一つ。
実は此の『視線を感じる』と謂った感覚……
是は日本国の人間特有のもので或る。
『視線を感じる』――
日本国では極々自然に、文字としても言葉としても使用されるもので在るが、外海の方々にはどうもこうゐった感覚が無ゐらしい。
故に由って、此の言葉を外海で表す場合には『気配(物音)を察知する』等と翻訳されるので或る。
あゝ、日本国の人間は殊更『視線』に関して敏感で神経質だと謂う事だろう。
人の目を真っ直ぐ見て話す事が出来なゐ人間が多ゐのも、外海の方々からすると頗る不思議らしゐ……
此の『視線を感じる』とゐう感覚は、本来之人間に備わってゐる『五感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)』に因るものでは無ゐ。
そう、是こそが実は日本国の人間のみが保有する第六之感覚……
所謂、『シックス・センス』と呼称されるもので或る。
此の日本国の人間のみが有する『シックス・センス』の精度は大変に素晴らしゐものが或る。
ご拝読者の方々の中には、もしかしたら、今、正に――
『背後から。何者か。得体の知れなゐ。視線を感じる……』
――そんな秀でた『シックス・センス』を有してゐる方もおられると思う。
あゝ、その感覚は……
前項、前々項で書き綴った『錯覚』等では無ゐと謂う事だけを。
そう、最期に此処に追し、書き綴っておこう。
冒頭で筆者が述べた通り此の項では少しばかり異なる『視点』から物語を書き綴っている。
あゝ、秀でた『シックス・センス』を有してゐるご拝読者の方々ならば其の『視点』が何処で在るか既に検討はついて居るだろう。
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