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「あ」
「理沙、どうかした?」
「ううん。あんまり気持ちがいいから、寝ちゃわないか心配なだけ」
「わかった。昨日やってた映画を観てて、夜ふかししてたんだろ」
「ぶー、はずれ。お弁当の下準備してたからです」
「え、マジで? 悪かったな。理沙、映画好きだからそうだと思ったんだ」
「好きだけど、昨日のはホラーだったじゃない。怖いのは観ないの」
「へえ、知らなかった。そういう、可愛いとこがあるんだ」
「もう、ばーか。でも、お父さんもお母さんもひどいんだよ。怖いの嫌だって言ってるのに、音量大きくするんだから。台所から動けないの知ってて意地悪するの」
「ははは、理沙の家族って楽しそう」
人生初の彼女。天気は快晴。
だけど、俺にはひとつだけ不安に思うことがある。
「本当にココで良かったのか」
「うん。ここが良かったの」
「でもさ……」
「ここのボートに乗ったカップルは必ず別れる、って噂が心配?」
「知ってて選んだのか?!」
「まあね」
俺の不安を、彼女はあっさり笑って肯定してくれた。
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