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「だから、ジンクスは関係ないってわけか」
「関係ないっていうか……占いとかもそうなんだけど、良いことだけ信じる主義だからかな」
「いいな、それ」
「でしょう。ね、もう少し奥まで漕いでほしいな」
「ああ……」
「どうかした?」
「いや、なんか、妙に湖の周りに人が集まってる気がして」
「そお? 見晴らしがいいからじゃない?」
「かな」
「ねえ。それって、その中に可愛い女の子がいたから気になってるとかじゃないの」
「違うって。信用ないな。俺の目には理沙しか映ってないよ」
自分でもクサイって思ったけど、やっぱり女の子はこういうのが好きらしい。
「ホントにぃ?」
冗談交じりに、彼女が笑って顔を近づけてくる。
おかげで、物理的にも俺の目には彼女しか映らなくなった。
「ホントだって」
「うん、ホントだ」
俺の瞳を覗き込みながらささやく彼女は、すごく甘い顔をしている。
「理沙……」
『キャー!!』
「な、なんだ?」
突然、いい雰囲気を誰かの悲鳴で邪魔をされた。
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