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ある新月の夜のことである。
ある集落で、ある女が双子を産んだ。
赤子の泣き声が、集落に響き渡る。
女の家の周りには、集落中の男が集まっていた。
産まれるのを待ち兼ねていたのだ。
やがて、三人の老いた男が家の中へ入っていく。
この集落の長老達である。
集落は、重苦しい雰囲気に包まれていた。
皆、一様に険しい表情を浮かべている。
けして、祝福するために集まったわけではなかった。
家の中では、女がぐっしょり汗を掻き、
疲れ切った状態で横たわっていた。
女は、入ってきた長老達に悲しい眼を向けた。
「我々も辛いのだよ。わかってくれ」
長老の一人が女に言った。
「仕方がないのだ。
その子は、禍をもたらす。
生かしておくわけにはいかない」
もう一人の長老はそう言うと、
二番目に産まれた女の赤子を取り上げた。
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