第二章

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長老達が立ち去ろうとすると、赤子の父親が止めた。 「待ってください。せめて、お願いです。せめて、私の手で!」 父親になった男は、長老達に懇願した。 「お前にできるのか? 我が子の息の根を止めることが」 「できます」 父親は静かにそう言った。 三人の長老は、互いを見、やがて、父親に赤子を差し出した。 父親は、赤子を長老の手から受け取ると、 そのまま家を飛び出した。 父親は、集落を抜け、森の中を走った。 走り続けた。 赤子を抱きかかえたまま。
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