第一章

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女神像が引き上げられたのは、 それから二週間後のことだった。 銀貨は、結局、百枚程。 割と珍しいものではあるが、 それでも、 値段にすると知れている。 今まで、 掛かった費用にすれば、 はした金のようなものだ。 女神像は、 やはり、 最近のものだろうという見方だった。 欠損は全くなく、 保存状態は極めていい。 真っ白で美しい女神像だった。 海に沈んでいたとは思えないぐらいだった。 両手は、 胸元で、 布を掴んでいるように見える。 着衣は、 風に靡く様に、 僅かに裾が翻っている。 ジョンは、 その女神像にすっかり魅せられていた。
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