第1章

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いわゆる水郷と呼ばれる土地、Yの出身だった。 祖母も、母も。 都会に居を移して数代重ねても 、その土地の女を選ぶ。 なぜかそういう風に出来ているらしい。 それでは、と年頃になれば親戚経由で見合い話が来るのだが、まとまるものでもないらしい。 本人も知らないほどの薄い血縁だった祖母と母。 薄いけれど脈々と流れる、その土地の一つの家の、 もっとたどれば一人の女性の血を呼び寄せるが如く。 偶然に、伴侶として選んできた。 きっと私も祖父や父のように、Yの女性とどこかで知り合うのだと思う。
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