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あの夜に何があったのだろう。
祖母が母を殺めたのかもしれない。
幼いとはいえ、記憶がまだらで思い出せない。
というよりは蓋をしているように。
葬式でも棺の母の顔を見ていない。
祖母に抱きしめられていた。
その手は母をもしかしたら。
祖母が車椅子で動けるようになりYへ行きたいと行ったが、のらりくらりとかわしていた。
祖母がそれほど大事にしている事を、自分の意思で遮っている事が嬉しかった。
表向きは祖母を案じる孫を演じて。
消灯に合わせて病室を出ようとした背中に、声がかけられた。
「あんた、アタシを憎んでいるね」
振り返らずに出た。
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