第1章

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神棚は埃を被っていた。 木箱を開けると、記憶のまま石は黒光りしていた。 触れるとひんやりと湿っている。 吸い付くような感覚があって、あわてて蓋をした。 それから二ヶ月。 祖母は自宅に帰ることなく介護施設に移った。 「水が澱むと、あれが涌くよ」 そう言ったきり祖母は口を利かなくなった。
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