第1章

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実は、こっちに来てから沢山の人に協力して貰って、何度かあなたの様子を見に行っていました。ごめんなさい。 あなたが私の葬儀に出席もせずに保険金だけはしっかり受け取ったことを咎めた私の両親に、あなたはこう言っていましたよね。 「次はお前らの番だ」って。 私は耳を疑いました。もしかしてそれは溺れた私のことを指しているのか、と。 あなたがこの手紙を読んでいるということは、そういう意味だったのでしょうね。私は悲しいです。 お盆に私に供養の念をもって手を合わせてくれるあなたであれば、こんなことはしないつもりでした。 けれど、もう手遅れです。 あなたを連れて行くことにしました。 嫌がっても駄目ですよ? あなたは私が嫌がっても沖へ連れて行ったじゃありませんか。 ああ、あなたが次に水を飲むとき、楽しいことが起こります。今からそれが待ち遠しくてなりません。 そう遠くない日に、またお会いしましょう。 敬具』
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