5人が本棚に入れています
本棚に追加
……これは僕が小学生だった頃の話。
雨上がりのその日、
僕は友達とふざけながら家に帰っていた。
道の傍らの池には大量のアメンボ。
不意に友達が足を滑らせ池に落ちた。
ドボン。
それまで静かに水面を滑っていたアメンボが
途端に活気付く。
みるみる間に友達の体には
無数のアメンボが纏わり付いた。
「痛い!やめろ!痛い、痛い……」
バシャバシャと音を立て友達は暴れるが、
暴れれば暴れるほどアメンボの数は増えていく。
いままで見たこともない光景に、
僕はただ腰を抜かし
呆然と見ていることしかできなかった。
我にかえるとあたりはしんと静まり返っている。
ピクリとも動かず池に浮いている友達の周囲を、
何事もなかったかのように
アメンボが静かに滑っていた。
【終】
最初のコメントを投稿しよう!