#02 * 雪将

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べちん! ……叩かれた。 なぜ……? 我ながら、初めてにしてはよく出来た方だと、 感心していたところなのに…… <だめでしょ> 歌子さんは一瞬そっぽを向いたけど、 すぐにクスッと笑って、また本を読み始めた。 髪が頬までかかり、表情が全く見えない。 僕は椅子の上で居直ると、本を持つ彼女の手にそっと触れた。 自分でも驚くほど強気だ。 少し、押しすぎだろうか…… 落ち着け、雪将。 何をそんなに焦っている…… こういうのは時間をかけて、ゆっくりとだな。 少し冷静になって、彼女の様子を伺う。 嫌がる気配は……多分、ない。
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