#02 * 雪将

13/14
前へ
/14ページ
次へ
沈黙。 胸の鼓動が耳まで響く。 お願いだ…… 早く、早く何か言ってくれないか。 暫く中途半端にめくられたページを、食い入るように見つめた後、 彼女はこちらを振り返った。 見つめる瞳は心なしか涙ぐんでいて、 さっきほどいた髪が口元を隠す。 <…………んだね     い いよ> 「歌子さんっ……」 感極まって、腕いっぱいに小さな肢体を抱きしめながら、思った。 ごめんね? 僕…… 一番大事なところ、 聞き逃しちゃったよ……
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加