#02 * 雪将

2/14
前へ
/14ページ
次へ
男子トイレの壁に手をついて、一人、僕は考える。 追いかける、べきだろうか…… 追いかけても、いいのだろうか? 僕が? 歌子さんは僕の名前しか知らない。 僕も歌子さんの名前しか知らない。 あのまま、誰よりも仲のいい友達に……なれると思った僕が甘かった? 友達の作り方など分からない。 しかし恐らく、僕のせいで歌子さんに嫌な思いをさせた、のだろう…… 謝らなければいけない。 僕は走って教室に戻り鞄をつかむと、窓の外を見た。 小さな背中が校門を出て、右へ…… その先は、一本道だ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加