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歌子さんとの出会いは、
僕の日常をガラリと変えてしまった。
一番分かりやすい変化として、まず僕は教室に行かなくなった。
毎朝いつも通り登校して、
まっすぐ西校舎3階奥の図書室へ向かう。
僕が着く頃には大抵、
歌子さんが先に来ていて、静かに本を読んでいる。
最初こそ驚いた顔をしたものの、彼女は笑顔で迎え入れてくれた。
そして授業に参加しなくても、
学校生活が充分に成り立つ事を知った。
宿題もプリントもノートも給食も……
必要なものは学級委員が持って来てくれる。
勉強は自分でも出来るし、
歌子さんと一緒だと今まで以上にはかどった。
野郎達もここまで追ってきて、僕をどうこうする気はないらしく、
入学2年目にして初めて、この上なく平和な中学生活を送る事ができた。
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