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「綺麗だな……」
「シュウもっとそっち立てよ、後ろの湖が入んないだろ?」
「あぁ……これでいい?」
「おっけ、じゃあタイマーセットするからヒロシもこっち来て入って!」
大学に入って一年くらいの頃、俺達は同じ学科の三人で旅行に行った。
特にこれと言って目的があったわけでもなく、ただ何となく思い出作りに行った感じだ。
だから、誰からともなく旅行に行こうと言い出し、目的地も予定も適当に組んだ。
中途半端に出来た流れに任せて、誰かがリーダーになることもなく、飛行機と宿の予約だけ決めてここ、北海道まで来た。
だからだろうか、俺はとても居心地が悪かった。
「なぁ、ここ楽しいか?」
俺はヒロシとハルトに訊いた。
「シュウ、何だよ今更。
景色も綺麗だし空気もおいしいし最高じゃないか」
ハルトはそう答えたが、ヒロシは自慢の一眼レフカメラで景色を撮るのに夢中になっていて俺の話なんか聞いてもいない。
「確かに景色は綺麗だけどさ……」
「じゃあボート乗ろうぜ!
ボート乗ればちょっとはわくわくするだろ?!」
さっきまで景色に夢中だったヒロシが俺の腕を掴んでそう言った。
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