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「よし!行くか!」
今日は快晴!絶好の入学日和だ、ワクワクしてきやがる!
靴紐を結び立ち上がると、
ゴッ
鈍い音と共に脳天に激痛が走る。
「意気揚々なのはいいが教科書忘れる奴がどこにいんだ?なぁ、春児?」
「だからってぶつけなくてもいいだろーが!地味にイテーんだぞ!炎冥!」
頭を抱えながら声の方を向いて吠える。
俺を叩いたのは、2つ上の兄貴の焚木家の中で最も実力のある炎冥(えんめい)だった。
「人が親切に教えてやったのにどうゆう言い草だ?しゅーうーじー?」
俺に手のひらを突き出すと炎冥は呟く。
『衝撃(インパクト)』
瞬間に俺は玄関のドアにぶつかる。
「ハハッ!じゃあ最初からコッチの方が良かったのか?優しい兄ちゃんで良かったな!じゃあ先行くぞー」
玄関の横に後頭部をぶつけて抑える俺の横を通り過ぎて玄関を出て行く。
「あ、炎冥くん!一緒に行きましょ!」
外では複数の女性の声が聞こえる。
あんなクソな兄貴でも学校では成績優秀で卒業後には魔法庁の有望な新人と言われているエリートだ、当然モテる訳だ。
それに比べて俺は、、、
俯いたその時玄関が開く。
「春児?なにしてるの、入学式遅れちゃうよ」
顔が見えたのは家が隣の幼馴染の夏鈴だ、心配そうな顔でコチラを見ている。
「また炎冥さんに飛ばされたの?ホントに仲いいね」
横で歩きながら朝の出来事を話す。
苗木 夏鈴 (なえぎ かりん)
小さい時から仲が良く、クソ兄貴の愚痴を話せる数少ない友人。
横ポニテでスレンダーでスカートがよく似合う、胸もスレンダーではあるが。
「馬鹿、何が仲がいいねだ。痛ぇんだよ。」
「いいよね、兄弟って、、、」
夏鈴が俯く。
コイツに兄はいた、過去形である。テロの際に民間人を守って殉職したと聞いている、勿論俺達が幼かった時だ。
そうすると自然に会話が途切れてしまう。2人の間を春風が通り抜ける。
会話がほしい、俺にはこの空間を脱せるほどのトーク力は持ち合わせていない!
「今日朝飯何食べたの?」
「トーク力なさすぎでしょ」
こ、コイツ。人が気にしていることをよくも、、、
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