38人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
皆人は半泣きになり、いたずら電話も真っ青の勢いでリダイヤルする。
しかし龍一の電話はそれから繋がることはなく、むなしくコール音だけが鳴り響く。
おそらく着信拒否にされたのだろう。
この電話ではらちが明かないと、乃亜や理沙の携帯を借りて何度もかけ直した。
最後に泣きついた谷口の携帯で、やっと龍一は電話をとってくれた。
「俺、減棒なんてヤダよ。マンションのローン、まだ残ってんだよ」
電話を借りた理沙からは、
「ついに兄からも嫌われたか。龍もいい厄介払いしたわね」
と嫌味を言われ、谷口からは、
「ゼッテーそれ、龍に遊ばれてるだけだって。いいねー愛されてるって」
さんざからかわれ、もう何もかもがうんざりだ。
乃亜だけが、
『皆人くん。イイコイイコ』
と頭を撫でてくれたので、かろうじてキレないで済んでいる。
待っててね乃亜ちゃん。
このミッションを成功させて、減棒だけにはならないようにするからね!
皆人は熱く誓うが、えらく目標の低い到達点ではある。
最初のコメントを投稿しよう!