10年間の距離

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元から色素の薄い顔色が、透きとおるように白いのは、療養中のせいだろうか。 シャワーを浴びたばかりらしく、濡れた髪が首筋辺りを遊び、 胸元から覗くうっすらピンクの肌が、皆人の背筋をもゾクリと震わせる。 「な、なんて格好してんだよ」 思わず赤くなったのを誤魔化すために、怒鳴るように言った。 皆人はけっしてゲイではない。 ゲイではないが、男をも怯ませる、この迫力は何だ! 「――歩くわいせつ物陳列罪」 思わず口をついた。 龍一はそんな皆人に不快そうに目をやり、 「別に来てくれと頼んだわけじゃない。勝手に押しかけてきたのはそっちだろう」 冷たく言い放ちつつも、ドアを大きく開け、皆人を部屋に招きいれてくれた。
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