【2】一番はイヤです。

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「じゃ、こっちの道を歩いて、次の十字路を右な。そうすれば大通りに出るから、多分そこの道はあんたもわかると思う」 携帯にいれてあるナビ機能を使って、ショップへの道を検索する。その道順を簡単に指示すると、男は驚いたような顔をして猫と見つめ合った。 なんだよ、と睨みつけると男は猫を片手で抱えなおし、 ―――スッ 俺に腕を差し出してくる。 「くまばらしゅうと」 「へ?」 ぽかんと口を開けてその手を見つめていると、男は再度同じセリフを言う。 「熊原 秀人だ」 「あ、うん」 握手すればいいのか? 戸惑っていると男は真剣な瞳で俺をじっと見つめてくる。 (な、なに、俺の顔になにかついてんのか・・・?) 男はしばらく見つめた後、はっきりと言った。 「お前が好きだ、一目惚れだ」 絶句したのはいうまでもないだろう。 ここまで真っ直ぐな、ど直球な告白は初めてだった。 (え・・・は?俺が・・・好きだって?) こいつ見るからにノンケっぽいのに、何言ってんだ。 イタズラか? (そういうの、言うタイプには見えないけど・・・) でも、俺を好きになる方がもっとありえない。それならまだ、おかしな冗談を言ってると思う方が信じられる。 「じ、冗談だろ、やめてくれ、気持ち悪い」 嫌悪を込めて、はっきりと拒絶する。男はその言葉を聞いても一歩も引かなかった。 「人が人を好きになる事は、気持ち悪いことじゃない」 「!!」 呼吸さえ忘れて、男の顔を見つめた。 (人が人を好きになる事は気持ち悪くない・・・?) 嫌な記憶が蘇りかけて頭を必死にふり掻き消した。俺は震える体を抑えこみ、悲鳴のような叫びをあげる。 「馬鹿なことを言うなっ!!」 男の腕を払い落とし、路地を後ずさった。 「男が男を好きになるとか、ありえないだろ!!頭おかしいんじゃないのか!!!」 「お前の名前は?」 全く引かない。 逆に近寄ってくるこの男に恐怖さえ覚えた。 こんな男と関わってはいけない。 急いで立ち去らなければと思った時だった。 「ミノリー!」 後方から、聞いたことのある声がする。はっとして振り向けば、大学の友人だった。後ろに男をひきつれてこっちに近寄ってくる。
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