【3】一番はイヤです。

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「はあっ・・・ああっ!」 激しく揺さぶられる。息もできないほど、強引に相手のいいように動かされた。 「もっとっ、うああっ、くう、んんん!」 目の前の男の首に腕を回し、もっととせがむ。首に噛み付き、吸い付いた。 「もっと、激しくっ・・・して、っ」 奥を締め付けると、男は呻いて、腰をガンガンと振ってくる。 (もっと・・・あの男を忘れられるぐらい、激しく、してくれ) そう願って、名も知らぬ男に縋り付いた。 「はあ・・・」 煙草の匂いが移ってしまった体を見下ろし、ため息をつく。 「なんだ、まだ足りないのか、ヘンタイ学生」 「違うっての」 後ろから抱きつくように絡んできた男を足で蹴った。 セックスの後は触れられたくない。体が敏感になってて感じるのが嫌だ、ってこともあるけど、急に冷めてしまうのだ。色々なことが。 「冷たいやつだな、さっきまでの可愛い姿はどこへいった」 「うるさい、満足したならもう帰れよ」 男は不満げにぼやきつつも、身支度を終わらして立ち上がった。 「ま、ヨかったぜ、ご馳走様」 「こちらこそ、下手くそな腰振りありがとうございました」 「ほんっと可愛くないなお前・・・」 げんなりとした顔で笑いながら、男はホテルの部屋を出て行く。それを見届けてからベッドにもう一度倒れこんだ。 色々な液体で濡れてるシーツで寝転がりながら、うとうととまどろむ。 目を瞑ると、あの男の顔を思い描いてしまう。 今の男じゃない。 ペットショップの、熊原とかいう男。 滑らかな黒髪、鼻筋の通った、力強くも整った顔立ち。180は越えるであろう高身長。低く、大人びた、色っぽい声。 (まるで俳優かと思ってしまうほどの外見なのに) ネーミングセンス最悪、KY、直球、話が通じない。ありえない。本当にありえないのに。 (どうして・・・あの男のことを考えてしまう?) 忘れたいのに、一週間経った今でも、はっきりと男の顔が張り付いたままだ。 今の今まで抱かれていたが、その間も、あいつの顔がちらついて集中できなかった。 (くそっ・・・!) どこまで俺を狂わせるつもりだ。 悔しいけれど、体はあの男に欲情してる。 「はあぁ・・・っ、んっ」 シーツの上で、男のことを考えながら自慰を始めた。
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