【3】一番はイヤです。

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「見つけてくれて、埋めてくれて、ありがとうっていうか、そのーあのー」 「慰めてくれてるのか、ミノリ」 「!!!」 熊原が犬のリードをベンチにくくりつけて、俺の前に移動してきた。腕を伸ばせば触れられる距離。 またもう一歩、近づいてくる。 「ミノリ」 「違う!慰めてなんかっ」 「ミノリ・・・」 「だから違うんだっーんむ?!」 熊原の顔がすぐそこに来たと思えば、唇に柔らかいものがあたる。 (これ・・・熊原のくちびる・・・?) 久しぶりのキスに、体がぶわーっと熱くなった。あれだけ色々な男とヤッている俺でも、キスは早々しない。いや、正しくは、したいと思えないのだ。 (熊原・・・) 触れるだけのキスに、舌が割って入ってくる。互いの吐息が混ざって、クラクラと頭の芯が熱くなった。 「もっと・・・っ」 「ん」 縋るように、熊原の服を掴む。応えるように、舌が深く入り込んできた。互いの舌を絡ませ、ぴちゃぴちゃと音を立てて、深く口付ける。 しばらく夢中になってキスをしていた。 けれど夢のような時間は唐突に終わりを告げた。 「あはは」 公園の横の道から誰かの笑い声が聞こえてくる。俺はすぐに目を覚まし、熊原の体を押し返した。 「ミノリ・・・」 名残惜しそうに、俺を見つめてくる。伸ばしてきた腕を跳ね返し、一歩、後ずさった。 「や、やめろ!!俺の名前を呼ぶな!」 「・・・」 「き、キスとか・・・二度と、するな!!気持ち悪いんだって言ってるだろ!!」 感情が一気に冷めていく。 (な、何をしてるんだ、俺は・・・!!) 我に返り、今さっきまでの自分を思い出しては、それを反動にして叫んだ。熊原はそれをじっと見つめてくる。 「俺はっ・・・俺は!!一番は嫌なんだ!!」 そう叫び、立ち去った。 公園の入り口で誰かとすれ違った。そのとき、ぶつかりかけて、通行人の迷惑そうな声が聞こえてくる。でも、それを気にしてる余裕はなくて。 俺は何も考えたくなくて、ただ走り続けた。
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