【3】一番はイヤです。

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―――ぴぴぴっ 朝七時を伝える携帯の目覚まし。 叩くように携帯をとり、アラームを解除した。 (全く、寝れなかった) 黒い隈のある自分の顔を鏡で見つめ、大きく、深くため息をついた。 (散々だ・・・) 大学、休みたい。 でも・・・このまま寝てても、きっと眠れないだろう。ならば、大学にいっていた方がまだ気は紛れるかもしれない。 (しかた、ない・・・) 渋々、大学への準備をする。 ―――ピコッ そこで携帯から聞きなれぬ音がした。 親なら電話してくる。 友人には連絡先を教えてない。 セックス関係の相手は言わずもがな・・・ありえない。 (じゃあ、誰だ) 誰だ、といいつつ、わかっていた。 ただ一人だけ、俺は連絡先を教えてる奴がいたのだ。 (でも、まさか、そんな) 携帯を、震える手で掴み、持ち上げる。 ―――LINE通知 1件 やっぱり。でも、どうして。 そんな混乱する頭を、俺は無理やり気にしないようにした。携帯の電源を切り、上着のポケットに入れる。 「であるからしてー」 大学の退屈な講義が、いつに増して頭に入ってこなかった。その原因はわかりきってる。 (熊原と、朝のLINE) どうしてこうも重なるのだ。俺のトラウマは。 「生理かよーミノリ」 「・・・」 隣の席に座る、合コン好き友人が頬杖をつきながら話しかけてくる。講義は質疑応答しながらの進行のためそれなりに賑やかだった。だからこれぐらいの会話なら全然ばれない。 「誰が生理だ」 「だってお前ずっと貧乏ゆすりしてるし、ため息百回はしてるし」 「・・・」 「恋か?恋なのか??」 「・・・」 「そうか、失恋か!!」 俺が答えないため、どんどんエスカレートしていく。もう訂正するのも面倒で。 「そうだよ、失恋だ」 「なっ」 「一生で一度の失恋だった」 「ミノリ・・・」 お前って奴は!と涙ぐんだ友人に背中を叩かれた。 「お前、秘密主義だし、わかんないとこ多いけど・・・色々、あったんだなっぐすっ」 「・・・」 その涙を白けた瞳で見てから、黄昏れるように窓の外を眺めた。 (色々あった・・・か) 確かに、色々あった。 そしてこうなった。 (哀れで、みじめな人間に、なった) 自らの行動を振り返り、自嘲するように笑う。
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