【2】一番はイヤです。

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「下手だった」 「うわ、最悪よ、この男!」 おねえ言葉で茶化すように小突いてくる。 「そこは俺らの技量でカバーっしょ!ま、いいや、じゃ午後の講義でまたよろしくちょー」 「あ、俺サボるから」 「どうええっ」 「じゃ、合コンファイト」 「あっおい!ミノリ!」 追いかけてきたそうな声。でもこいつは、絶対それ以上は進んでこない。だからこそつるんでいるのだ。 大学の騒がしい廊下を進み、俺は喧騒から逃げ出した。 あてもなく、ブラブラと街を歩く。 目に留まった看板や広告の文字をぼーっと読んだりするだけを繰り返した。 「・・・だめだ、足りない」 苛々する。昨日の男では満足できなかったみたいで、体が熱い。どうしようもなく疼く。 (くそっ・・・誰か、) 人波を見回すが、昼の今の時間帯はそういう奴もあまり見かけない。 (電話・・・いや、知ってる奴いないか) 自分からそういうのは絶っていた。どんな奴が相手でも、連絡をしたり、回数を重ねることはない。 自分に愛着なりなんかの感情がわいてしまうかもしれない。 だから一回きり。 「くそ、こういう時、不便だな」 さっきの合コンの誘い、行けばよかった。今の状態なら女でも抱けただろうに。 「・・・。」 ふと、おもむろに、携帯を開いた。 迷わずLINEを確認する。 通知なし。 (・・・当たり前、か) 携帯を閉じ、悪態をつく。 なんとなくムシャクシャして、人を避けるように、狭い路地にはいる。街中と違いゴミ袋が散乱していて、汚らしい路地の道を俺は歩き続けた。 すると。 ―――にゃあっ 黒猫が目の前に飛び降りてきた。どうやら路地の壁を歩いていたらしい。 (野良猫・・・?) にしては毛並みが綺麗過ぎるような。首輪はないけど、なんとなく飼い猫っぽい雰囲気のその猫は、何を思ったのか・・・俺に飛びついてきた。 「えっえ??おい!」 肩に乗っかってきたと思ったら、もぞもぞとフードの中に入ってくる。 「おいこら!猫!」 汚いだろ! 急いで猫を取り出そうとしたときだった。
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