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アウゥーーン
アウゥーーン......
森のなか、崖のかべ、野原、何十にもなってこだまする狼の声。
おなかがすいた。ハラガヘッタ。飯をくれ。.....
さまざまな狼が鳴く声はアルト、ソプラノ、と音程は違うけれど、意味は同じ。
おなかがすいた。ハラガヘッタ。飯をくれ......
音色は聞くが、その中身は誰だって聞いてはくれない。だから、夜空から見守ってくれるお月さまにうったえる。ハラガヘッタ。
それを知ったお月さまが皆に空から知らせてくれるように。
お腹がすいた!!アウゥーーン.....
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─月の都市 ルーベスタン。ここでは年に一回、盛大なお祭りがある。
そのなも、ヴァルカブゥフ。聖神ヴァルルカ様を祝う祭りだ。毎年、沢山の出店、きれいで華やかな踊り子、テンポのいい打楽器による音楽、などなど、ドンチャン騒ぎでみんなが大好きなお祭りだ。
そんな祭りがなんと、あと、一週間後に、あるのだ。皆がウキウキを隠しきれず何処もかしこもウキウキで、出店の準備、音楽の練習と、準備をしだし、どんどん町が騒がしくなっていっている。
それと同進行で、僕の心も騒がしくなっていた。
「サドゥー!!」
「あっ、な、なに?」
「もぉー!!あと、一週間後だよ!!ダンスは、団体行動、一心同体!!皆にもう3ステップまでいってんだぞ!なのに!サドゥー!おまえはまだ2ステップじゃないか!!!」
「ごっ、ごめん。」
いま、僕の前で怒っている彼はジェイル。僕の所属しているダンスチーム、キングのリーダーだ。
キングは、ヴァルカブゥフでダンスを疲労することになっていて、キングの練習ルームで練習にせいをだしている。
「ヴァルカブゥフに間に合わなかったら、皆でお仕置きとして激辛料理喰わせるからな!!」
激辛料理!!?頭のなかにモヤっとお仕置き場面がうかんで、ジワリと、額に汗をかく。
「むっ。むり。食べられない!!」
「なら、頑張って追い付くんだな!」そう言うとジェイルは、僕の背中をバシっと叩いてジュースをかいに出ていってしまった。
叩かれた衝撃だけで前につんのめってしまい。自分の力のなさを恨む。ついでに叩いてきたジェイルも恨んでやるぞ。
「さぁ、追い付かなきゃな!」
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