迷子

8/14

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
ムカつく 「嬉しい。光輝と帰れて」 光輝の腕にピト 磁石みたいに引っ付く三沢さんを無視して、アタシの鞄を奪った光輝は駿に顔を向けた 「帰ろうぜ」 にかっ 笑った光輝に軽く肩をぶつけて 「おう」 アタシたちを置いて歩き出す二人 ぽかーん 口を開けて見送るアタシと三沢さん 鼻の下を伸ばして眉をしかめた光輝を指した駿が、背を反らして笑ってる ぷふふ あの顔真似、化学の庄司先生にそっくり 「おい、ぼけーっとしてたら置いてくぞ」 光輝がアタシに背中を向けたまま声をかけてきた 「もう置いてってるじゃないよ」 足を一歩踏み出して、あ、三沢さん 思い出したアタシは振り返り、ぶすーっとした顔の彼女と目が合う 「やーだ、置いて行かないでよ」 ぷいっ 勢いよくアタシから顔を背けて光輝めかけて走り出した女の背に、チッ 思いっ切り舌打ち 「ほどほどにね」 苦笑する窪田先輩と由美に「お先でーす」手を振って三人を追って駆け出した なんじゃ、こりゃ 光輝を先頭に、三沢さん、アタシ、駿 なぜか一列の下校 鞄があるからと三沢さんを寄せ付けない光輝に、ふ一ん 思いながら歩いた
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加