迷子

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日が影ってきた 黒田山で夜を過ごすなんて怖いことしたことないのに、容赦なく夜の闇がアタシたち近付く 下っても出口がない 登っても終わりがない 動揺してる場合じゃないし、動揺しても何も解決しない だけど、重苦しい沈黙に耐えられなくなったアタシはスマホに向かって叫ぶ 「やだー、助けて、窪田先輩!」 繋がって、お願いだから繋がって ダイヤルを押しまくったアタシの願いが通じたのか『馬鹿! どこにいる!』捜してたはずの光輝と駿の声が聞こえた 『空を見上げて、星の光り具合を教えてくれ』 空? ホッとしすぎて、あー星だぁ 見上げるアタシの手を引いて、さらちゃんが歩いてくれる 「小さな星が弱い光りを放ってます」 『右に曲がってくれる?』 「え? 右に道はないですけど」 生い茂った大木がズラリ並んで、道などどこにもない 『大丈夫。俺を信じて右に曲がってくれ』 「はい。分かりました」 せーの 息を揃えて二人で出した足は、ピチャン 木にはあたらず沼地に入った 「どこー? ここ」 『気にしなくていい。とにかく歩いてソコから出るんだ』 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 黙って青ざめたさらちゃんと顔を見合わせて、ひたすら足を動かす ソコってどこ 考えたら怖すぎてパニックになる ストン ピチャンからストンに足音が変わったと同時に「あ、」目の前の景色が突然開けた
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