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「もうね? さら、本当に怖かったの」
あっ、そ
夜の黒田山ほど危険な場所はない。と言うことで、この時期山に登らない神主さんの許可を得て、神社の境内に泊めさせて頂けることになったアタシたち
男女の部屋を分けよう
提案した窪田先輩に縋りついて「やだやだ、怖いから一緒に居て」お願いした結果、男三人、女二人の雑魚寝となった
部屋に入った途端
山での恐怖を乗り越えた盟友は、あっさりアタシを振り払い光輝の腕に腕を絡めて、ぷるぷる震えだし
甘えた声での『怖かったの』に、至っている
何なの、あの子
チョームカつくんですけど
ぷいっと顔を背けて
苦笑いしてる窪田先輩と「入れて、安心するから」欠伸してる駿の間に座った
「ぶっ、すげーシワ」
ぐりぐり
アタシの眉間を突いてくる駿の人差し指を、ガシッと掴む
「乙女の顔になんてことすんの、バカ駿」
イタズラっぽい目をして笑う顔を想像してたのに、唇を尖らせたアタシの前にある顔は、ドキッとするくらい大人っぽくて
「バカはお前」
見たことのない男の顔をしている
怖いのか
ドキドキするのか
泣きたいのか
分からない感情が湧き上がって、下唇を噛んで俯くアタシの手は駿の指を握ったまま
「ヤベっ、指がもげそう」
はあ?
「失礼な、もげるほど強く掴んでないし」
ぷくっと頬を膨らませたアタシを見て、駿が笑う
良かった
いつもと変わらない雰囲気に戻った駿に、ホッとして、女の子と違う硬さの駿の指から手を離した
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