7人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
黒田山で寝るなんて怖い
一晩中、起きていよう。思っていたアタシの決心は脆かったらしい
・・・・・・トイレ
乙女が口に出し難い理由で目が覚めた
うう、どうしよう
目を開けるのは怖い、怖いけど起きなければアタシの膀胱が限界を迎えてしまい、ちょろり
イヤーーー
泣き叫ぶだけではすまない事態を迎えそう
ここが黒田山でなければトイレに男子は誘わない、けど、山の恐ろしさを体感したアタシには選択の余地はない
(く・・・・・・窪田先輩)
目を開ける前に小さな声で、頼りになる人の名を呼んだ
ギシッ
床が軋む
隣に寝ていると思っていた彼は起きていたらしい。ついでに駿と光輝も、ひそひそと話す声が聞こえてきて
「何だ、起きてたの?」
安心したアタシは目を開け、見てしまった。三沢さんに覆い被さる男の影を
状況を理解した一瞬後
目を見開き、口も開いたアタシは誰かに抱きかかえられ、パニックに陥った
やだやだやだやだやだ
助けてお願い助けて
金縛りにあったように動かないアタシの手足。やだ怖い、何されるの
呼吸が苦しい、キーンと響く耳鳴り、全身から噴き出す汗。ふぅっと気が遠くなりかけたとき
「おい莉乃。起きろ、目を覚ませ」
ペチペチ
乙女の柔肌な頬を叩く不埒者が駿、だと気付いた。やだもう、やだ
「バカバカバカ駿のバカ!」
「は? え、何、寝ぼけるなよ莉乃」
莉乃って呼ぶなバカ駿
最初のコメントを投稿しよう!