ああ、後悔

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コトコト コトコト ガスコンロの上で、煮込まれる魚 でも、アタシの目的は 「出来た?」 「ふふ、まだよ」 茶色く色付いたウズラのタマゴ 煮汁を染み込ませたタマゴは、最高に美味しい 「冷めるまで蓋を開けてはダメ。約束よ?」 「何時ならいいの」 「そうねぇ。2時間後、6時になったらいいわ」 ふぅん。じゃ、遊んでくる あ、光輝くん 「おーい。何やってんの」 「おう。用水路探検だ。お前も来るか?」 用水路の中で、手を振るのは 4年3組のさらちゃんと、同じクラスの駿くん 「行く行く」 一メートル深さの用水路の中へ、ジャンプ ビチャン Зcm溜まってるだけの泥水が跳ね返って「キャハハハ」白いTシャツが水玉になった 怒るかなぁ? お母さん ま、いっか こっそり帰って、洗濯機に放り込んじゃえ 「大人が来ない内に、行こうぜ」 「おう!」 水草や水苔で足を滑らせないよう、慎重に歩いていく ぬるぬる ねちゃねちゃ 足の裏に伝わる感触が、面白い 「きゃっ」 何かを踏んで、ズル 足を滑らせてしまい、ヒヤッとした 「大丈夫か?」 振り向いた光輝くんが、アタシの手首を掴んでくれる 優しいなぁ 悪ガキだけど 困った時は、頼り甲斐があるのだ。光輝くんは 「うん。でも、何か踏んじゃったみたい」 「えー? カエルだったら、嫌だぁ」 「オタマジャクシかもよ」 恐る恐る腰をかがめ、水の中を確認 え? 白くて丸い球 「なぁに? カエルの卵かなぁ」 「踏んでみようぜ」 言った駿くんが、踏みつけようとした時 ギョロ ギョロリ 目!? 恨めしそうな目が、アタシたちに寄ってくる 「ギャアアアアア!」 驚きすぎて、ビチャ 尻餅を付いたけど、濡れたパンツの心配どころじゃない 「逃げろ! 逃げろ!」 「やだー、待って、置いていかないで」 いつもなら、ヒョイ 簡単に上れる高さなのに、恐怖で腕に力が入らない 「待ってろ! 大人呼んでくる」 「うん」光輝くんの背を、半泣きで見送ったアタシたち ゴツン! 「この悪ガキどもめ!」 拳骨つきで、助けて貰えた 昔、雨で水嵩の増えた用水路に落ちて、流された子がいる 聞いて、ゾゾゾ 全身にブツブツが出来た 「魚だけでいい」 楽しみにしてたウズラのタマゴ「うえっ」食べれなかった
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