迷子

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「さら、犬を飼ったの」 ドン 思いっ切り突き飛ばされた肩 空を掴んだ手を バタバタ振ったのは一瞬だけ 「おっと」 支えてくれた駿に「ありがとう」微笑んで、態勢を整えた ガッデム! 中指を立てたアタシのことを、無視する女のことが気に入らない 「ちょっと、三沢さん?」 声を掛けても無視 小鼻を膨らませて、フン 息を吐くアタシを困った顔で見るのは光輝 ・・・・・・酷い アタシは転びかけたのに、その子を庇うんだ 小石があったら蹴りたい気分 ・・・・・・もう、嫌い 置いてっちゃおうかな、光輝のこと 「まだ小さいの、名前もね、字画を調べて決めようと思ってて」 マスカラで伸ばしたまつ毛を、やたらとパチパチする三沢さんはかわいい 『動物好きに悪い人はいない』 豪語する光輝は、先輩顔して助言してる 光輝の腕に腕を絡めて「寂しいのね、まだ赤ちゃんだから」スカートを摘まむ理由が分からん 「莉乃」 「何よ!」 ブスン 駿の指がアタシの頬に突き刺さってる 「お前って単純」 ブハハ 笑って駆け出す駿の背中を追いかけ、アタシも走る アタシたちの背中を視線で追っても、走らない光輝の態度が悲しい 好き だけど、嫌い 光輝なんか、三沢さんと仲良くしてればいいんだ
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