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なになに?
部室に足を踏み入れた駿も、揚げパン片手に参戦した
細いクセに、よく食べる
気持ちいいくらいの食べっぷりに、腹が立つ
「体重増えろ」
ハンドパワーで呪いをかけるアタシの口に「お前もな」ちぎった揚げパンが入ってきた
うん、美味しい
ペロっと指を舐める駿の、油でテカった唇に目がいった
「夜中の0時をすぎて、さあ寝よう。思ってた時の口笛がウルサくて
怒鳴るつもりで窓を開けたけど、誰もいないの」
うひゃー
身近にある駿の手を握って、あ、コイツ指を舐めたあと手を洗ってない
恐怖と唾液
どっちを取るか考えてたアタシは「この人見学です」光輝の連れてきた三沢さんをみて、唾液どころじゃなくなった
バカバカバカ
どうしてそんな女を連れてくるのよ
ムカついて
イライラして
真横に立った光輝のことを無視してたら、また三沢さんがアタシと光輝の間に入ってきた
「でも、口笛は明瞭に響いてきてさ
何の曲? と思ったら『カゴメカゴメ』だったのよ。窪田くん、どう思う?」
だだっ広い野原に由美の家が一軒だけ建ってるわけじゃない
近隣に住む誰かが口笛を吹いたのかもしれない
だけど・・・・・・
中途半端な霊感と呼べない程度の感覚しかないアタシでも、何かを感じる
顎に手をあてて考え込む窪田先輩が口を開くのを、固唾を飲んで見守った
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