迷子

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「でも、キャンプに訪れただけかも」 「呆れるね、心霊が出たと騒がれる場所でキャンプする人の気がしれない」 窪田先輩の口癖 『霊を信じるなら、遊び半分の物見遊山に行くべきじゃない』 視える人だからこそ、霊の苛立ちも感じるという窪田先輩の言葉には重みがある 霊も人間と同じ 見せ物にされて、いい気分になるわけがない 「だってー、もういいや。話は終わったんでしょう ウチのコを躾てほしいし 一緒に帰ろう? 光輝」 自分で面倒見れないなら、飼うんじゃないっての バカ女 昔のさらちゃんは好きだったけど、今の三沢さんは嫌い 「ねえ、怖いんだけど」 「由美の家に行くよ。僕の手に余りそうなモノが相手なら、父さんに頼んでみる」 神社の宮司でもある窪田先輩のお父様は、憑き物おとしの名人 とは言っても 何かに憑かれたことのないアタシには分からない 分からないけど『ありがとうございました』訪れたときには、狂ったように叫んでいた人が普通の人になって帰って行くから 先輩のお父様は、凄い人なんだと思う 「莉乃」 怒ったような低い声に振り向きたくないけど「何よ」振り向いた 「遠回りになるけど、良いよな?」 「何が」 「三沢さんの家」 「は?」 何でアタシが普段仲の良くない三沢さんを、家まで送ってくのよ 「分かれよ。俺だって、一人で帰りたくねぇし」
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