7人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「でも、キャンプに訪れただけかも」
「呆れるね、心霊が出たと騒がれる場所でキャンプする人の気がしれない」
窪田先輩の口癖
『霊を信じるなら、遊び半分の物見遊山に行くべきじゃない』
視える人だからこそ、霊の苛立ちも感じるという窪田先輩の言葉には重みがある
霊も人間と同じ
見せ物にされて、いい気分になるわけがない
「だってー、もういいや。話は終わったんでしょう
ウチのコを躾てほしいし
一緒に帰ろう? 光輝」
自分で面倒見れないなら、飼うんじゃないっての
バカ女
昔のさらちゃんは好きだったけど、今の三沢さんは嫌い
「ねえ、怖いんだけど」
「由美の家に行くよ。僕の手に余りそうなモノが相手なら、父さんに頼んでみる」
神社の宮司でもある窪田先輩のお父様は、憑き物おとしの名人
とは言っても
何かに憑かれたことのないアタシには分からない
分からないけど『ありがとうございました』訪れたときには、狂ったように叫んでいた人が普通の人になって帰って行くから
先輩のお父様は、凄い人なんだと思う
「莉乃」
怒ったような低い声に振り向きたくないけど「何よ」振り向いた
「遠回りになるけど、良いよな?」
「何が」
「三沢さんの家」
「は?」
何でアタシが普段仲の良くない三沢さんを、家まで送ってくのよ
「分かれよ。俺だって、一人で帰りたくねぇし」
最初のコメントを投稿しよう!