偽りの恋人

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 よく考えれば……  私がもっと早く行動すればいいだけだったのに…… 「ごめんなさ……」 「悪い。」  私の言葉を遮るように星野先生の声が頭上から降って来る。 「……え?」  星野先生から謝罪の言葉を聞けるなんて思ってもいなくて、驚いて顔をあげた。  少し恥ずかしそうに頭を掻きながら、そして優しく笑う。 「莉奈がいなきゃこんなとこ来た意味ないだろ。  もう離れるなよ。」  ドキンッ!!  星野先生の手が私の手を強く握る。  嬉しくて……心が震える。  胸の奥がギューってなる。  ……偽りの恋人……  もうそんなこと気にしない。  私が星野先生を好きなことは変わらない。  星野先生が優しい理由が身体だったとしても。  今私と一緒にいてくれる星野先生は私のことを想ってくれてると……  信じよう。  でなきゃ、一緒にいるのが辛いだけ。  沢山甘えてやる!  そう決めた。  そして  満面の笑顔を星野先生に向けた。 「星野先生も…私のこと離さないでくださいね。」  その言葉に星野先生はフッて笑う。  星野先生は私の左手を持ち上げると手の甲にキスを落とす。 「行くぞ。」  星野先生は私と手を繋いだまま歩き出した。
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