第1章 初日から難あり

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「お仲間増やして優位に立ったつもりかよ?」 「光が反射して眩しいんだよバーカハゲ。」 「なんだぁ?悩みでもあんのかハゲが。」 一人に続く様に別の他校の生徒達も口々に設楽の神経を逆撫でする言葉を発する。 「ハゲハゲハゲハゲ・・・ハゲ馬鹿にしてんじゃねぇぞコラァアアア”!!」 その言葉を火種に設楽が他校の生徒の中に飛び掛かり、一人の男を殴り倒した。 「ざけんなテメェ!」 「お前がふざけんなクソッタレ共!!」 設楽の後に続き宮藤と松田も応戦し、再び激しい乱闘が開始される。 瀬戸は何とか巻き込まれまいと、意識を失っているせいで身体の重い斎藤をズリズリ引き摺って輪の中から運び出す。 すると丁度輪を抜けた所で保健医が中の様子を伺いに来ていた。 「嶋田先生、斎藤先生をお願いします」 嶋田と呼ばれた男は引き摺られて来た怪我人の姿を確認すると「斎藤先生!大丈夫ですか!?」と顔を青ざめながらも早急に治療に取り掛かった。 (斎藤先生は何とか大丈夫そうだな。) 一先ず担任の事は保健医に預けホッと一安心し立ち上がると、後ろで未だハチャメチャな騒動が起きている輪の方を向き直し顔を歪める。 (問題は・・・こっちだよなぁ・・・・) 乱闘を取り囲む生徒達の野次馬は最高潮に盛り上がり、その中から響く怒声や罵声が入り混じった声に頭痛がした。 しかし瀬戸は何故自分が教師になりたかったのかを思い出す 『教師として生徒を真っ当な道に進める』 その言葉は再び瀬戸の心を奮い立たせた 「止めさせないと」
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