第1章 初日から難あり

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ーその後何とも言えぬ空気を漂わせ始業式が終わり、斎藤の様子を確認する為に保健室へと足を運んだ瀬戸 保健室には個室で区切られたベッドが四つ並び、その入り口近くにある一番右端に斎藤は座っていた 既に意識が戻り保健医の治療を受けていたのだ 「瀬戸先生、先程はお疲れ様でした。本当格好良かったです」 瀬戸を見るなり保健医の嶋田が「勇気があって素晴らしいです!」と目をキラキラと輝かせ飛び付いて来た 「いや、そんな・・・私は何も」 「そんな事ないですよ、恥ずかしながら私は意識を失ってしまって・・・助けて頂きありがとうございました」 頭に包帯を巻かれながら恥ずかしそうに斎藤は言う 「ありがとうだなんて、それより怪我の方は大丈夫ですか斎藤先生」 見た所顔色は良いが頭の怪我の方が気になる すると「あぁ、大丈夫ですよ」と斎藤が笑う (今日初めて見たな、この人の笑った顔) 「心配させてしまい申し訳ありません。怪我はちゃんと嶋田先生に診て頂きましたし、とりあえず一旦職員室で教頭先生へ報告をして来ます。瀬戸先生は先に教室へ戻られていてください」 「アレがあった後でちょっと戻り辛いしょうが。」と一つ苦笑いをするとゆっくり立ち上がった まだ本調子では無いらしい斎藤は立ち眩みでフラついた身体を瞬時に瀬戸に支えられ「すみません」と申し訳無さげに呟く 「私も怪我の容体の方を報告しますので一緒に参りましょう斎藤先生」 そう言って斎藤の体調を気遣う様に嶋田は救急箱を忙しく片付けると、フラフラと保健室を後にしようとする斎藤を追い掛けて行く 「あ、瀬戸先生。教室へ戻る前にそこでサボっている先生のクラスメイトの子も連れて帰って下さいね」 保健室の入り口のドアからひょっこり顔を出し左の一番奥ばった場所にあるベッドを指差す 「え?」 そしてニコニコと笑顔を溢しながら「宜しくお願いしますね~」と一言添えると、瀬戸が言葉を発する前に消えるようにその場を立ち去って行った 「・・・クラスメイト?」 その言葉に若干身構えつつも奥のベッドへと視線を移した
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